広報誌「TRUTH」2024年度秋号
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11グ(Jung、 C. G.)の実践や思索から発展してきている分析心理学やユング心理学と呼ばれる学問の流れです。 心理療法で扱う素材に、イメージがあります。イメージは、夢分析や箱庭療法、アート表現療法、子どもを対象としたプレイセラピー、といった技法の中で扱われます。夢も箱庭作品も、イメージの現れです。中でも私は夢分析を好んでいます。 よく見られる夢には、落ちる夢、追われる夢、海の夢などが挙げられるでしょうか。例えば、暗い建物の中の階段を下りていく夢が報告されたとき、心理療法の中でその夢について話し合います。もしかしたらそれは、クライエントさんが普段気づいていない心の領域に踏み入っていこうとしているのかもしれません。そこに何があるのか、それをどうしようとしていくのか、一緒に考えていきます。夢は本当に興味深く、さまざまなテーマを描いています。 クライエントさんに立ち現れるイメージは、多くの人に共通していたり、共有されたりするようなモチーフを含んでいます。それらは、神話やおとぎ話、昔話などに現れます。例えば水のモチーフは、神話などにもよく現れますね。そして、水のイメージといってもさまざまな動きや状態、あり方をしています。船人を吞み込んでしまう水もあ[左写真の書籍]C・G・ユング『赤の書[図版版]』/創元社C・G・ユング『分析心理学セミナー1925 ユング心理学のはじまり』S・シャムダサーニ、W・マクガイア編, 河合俊雄監訳, 猪股剛、小木曽由佳、宮澤淳滋、鹿野友章訳/創元社『ユングの芸術』C・G・ユング著作財団編, 山中康裕監訳/青土社りますし、水から命が誕生することもあります。水に潜ることでそれまでとは別の存在になってしまうこともあります。それらのお話は、個人を越えた人間の心理学的なテーマがイメージとして現れたものだと考えます。クライエントさんの語る夢などのイメージへの理解は、神話などを参照することで豊かにできる可能性があります。そしてその作業の中で、クライエントさんに変容が起こってくることがあるのです。 クライエントさんは一人ひとりが個性を持っており、心の課題も、心理療法のプロセスも、それぞれに異なっています。ですから、私は事例研究を重視しています。論文の中でクライエントさんの語りやセラピストの関わり、そして変化について個人情報を保護した上で報告し、それを理論に立ち戻って検討していきます。そのような事例研究の積み重ねが、理論をさらに厚く豊かにしていきます。 イメージがクライエントさんを捉え、体験させる中でどのような変容が起こってくるのか、それを理解していこうとするのが私の研究の柱です。そしてそれは、人がその人生を生きていくうえでイメージとどう関わっていくのか、その中でどのような自分になっていくのか、ということと関わっています。ですから心理療法のみならず、多くの人の生き方とも関連するテーマだと考えています。詳しくはこちらHiroshima Shudo UniversityIntroduction Researchイメージを媒介にするイメージのはたらきを捉える

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