20 今やコーパスは言語研究のさまざまな分野における主要な研究ツールである。通訳研究におけるコーパスの活用は萌芽的段階ではあるが、近年、ヨーロッパ言語のみでなく、アジア言語における成果も増えている。本書は、中国語・韓国語・日本語を含む通訳コーパスの活用に焦点を当て、東アジアにおける通訳研究の現状と可能性を示す。第14章では「通訳データベース(JNPCコーパス)」を活用し、英日同時通訳の品質評価について考察している。 金徳謙著 九州大学出版会 2024年5月 190ページ 2,970円(税込)Cheung, Andrew K.F. / Liu, Kanglong / Moratto, Riccardo編 Routledge2023年12月 274ページ 30,372円(税込) ※為替レートにより、金額は変動します。戸出朋子,西光希翔,石田崇編 ひつじ書房 2024年4月 195ページ 2,420円(税込)下薗りさ,木田綾子編著 白水社 2024年3月 186ページ 1,980円(税込)刊行物紹介『これで使える実践Webスクレイピング Pythonで学ぶWeb情報収集』[執筆等教員] 金 徳謙(商学部) 現代におけるインターネットは宝の山になった一方、他方で膨大な情報の中から必要な情報を収集することは難しくなり、インターネットを有効活用するスキル、いわゆるWebスクレイピングが注目されるようになった。本書は、初学者を対象にデータサイエンスについての理解と、インターネットからデータを収集するWebスクレイピングに必要な知識や考え方を分かりやすく解説しスキルの習得をめざす実用的解説書である。『Corpora in Interpreting Studies : East Asian Perspectives』[執筆等教員] 石塚 浩之(人文学部)『大学で「英語」(ことば)と向き合う―色とりどりの英語の世界』[執筆等教員] 戸出 朋子(人文学部) 大学で英語を学ぶことの価値が、一般に、技能習得のみの限られた範囲で捉えられる傾向があり、英語関連学問領域が見えにくくなっている。本書では、英語圏文学・英語学・応用言語学(英語教育学・通訳翻訳研究)という異なる領域を研究する広島修道大学人文学部英語英文学科の教員が、自らの領域の魅力を若者を中心とする一般読者にエッセイ風に語りかける。異質なものが創り出す万華鏡のような英語関連研究の世界が描かれている。『重度・重複障害児の学習とは?Vol.2 障害が重い子どもの能動的な学習を促進する学習内容と学習環境の設定』[執筆等教員] ■口 和彦(人文学部)■口和彦編著 平田香奈子,三木由美子ほか共著 ジアース教育新社 2024年2月 176ページ 2,420円(税込) 『重度・重複障害児の学習とは?』の第2作目。表出が微細な重度・重複障害児の能動的な学習を促進するための「学習内容」と「環境設定」について解説している。重度の子と他者(教師や職員、子ども)との関係はどうあるべきなのか?特別支援学校教員、大学の研究者、療育センター指導員がそれぞれの立場から実践を通して理想の姿を導き出した。子どもの能動的な表出を読み取るヒントを豊富に掲載している。『最新教育キーワード 165のキーワードで押さえる教育』[執筆等教員] 牧瀬 翔麻(人文学部)藤田晃之,佐藤博志,平井悠介,長田友紀編著 時事通信出版局 2024年3月 345ページ 2,750円(税込) 本書は、「令和の日本型学校教育」(中央教育審議会答申)、「持続可能な社会の創り手の育成」および「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」(第4期教育振興基本計画)など、今日、実現がめざされる教育ビジョンを中心に、厳選した教育キーワード165項目を見開き1ページで解説している。各項目には参考文献を紹介し、読者の関心に応えられる内容となっている。教育を学ぶ学生や現職の先生方はもちろん、広く教育に関心をもつ一般読者にも手に取りやすい一冊である。『カフカふかふか』[執筆等教員] 山尾 涼(人文学部) 本作は、西日本を中心としたカフカ研究者で構成された「カフカ研究会」(1978年発足)のメンバー8名によって執筆された。各人がカフカ作品の印象深い一文を引用したのち、それにまつわるそれぞれの解釈を述べる構成となっている。カフカエスクとも表現されるカフカ独特の不条理な作風は、時として読者の解釈を拒むかのような難解さがあるが、本作は一般の読者に向けてカフカを解釈する楽しさを示すことを目的とした。
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