広報誌「TRUTH」2024年度秋号
21/24

21■原秀訓,本多滝夫編著 日本評論社 2024年4月 367ページ 8,250円(税込)松本尚子編 大阪大学出版会 2024年2月 354ページ 5,500円(税込)渡辺康行編 日本評論社 2023年12月 384ページ 6,160円(税込)宮内彩希著 三恵社 2024年4月 218ページ 2,200円(税込)山内有信著 三恵社 2023年11月 158ページ 2,420円(税込)山中雄次著 晃洋書房 2023年3月 196ページ 3,850円(税込)『自治基本条例を軸とした、参加と協働の地域づくりの課題と展望』[執筆等教員] 門脇 美恵(法学部)東海自治体問題研究所・地域づくり研究会編 東海自治体問題研究所 2024年3月 83ページ 500円(頒価) 本書は東海地方における自治基本条例の制定と活用の実際を、地域住民と研究者との共同作業で検討・分析するものである。少子高齢化のさらなる進行は「2040年問題」と呼ばれ、いわゆる「増田レポート」では、大都市圏から外れる多くの自治体が「消滅可能性自治体」などと名指しされる。しかし、まさにそのような自治体で、地域での課題に地道に向き合って暮らしを守るための住民による活き活きとした取り組みが確実に存在する。『地方自治をめぐる規範的秩序の生成と発展』[執筆等教員] 門脇 美恵(法学部) 国と地方公共団体との関係はかつて「主従関係」と呼ばれていた。これを「対等」化し、憲法上保障された地方自治を実質化しようとしたのが2000年施行の地方分権一括法であった。上記改革から四半世紀、コロナ禍での政府対応の難を理由に、改革の成果を揺るがす地方自治法改正法案が6月に閉会した第213回通常国会で成立した。本書はかかる時代に危機感を共有する研究者による、地方自治ないし自治をキーワードとする論文集である。『伝統社会の司法利用 東西比較の可能性』[執筆等教員] 前田 星(法学部) 本書には伝統社会(必ずしも前近代には限らない)において、司法を巧みに「利用」する人々の姿を描き出す複数の論稿と、それらへのコメントが所収されている。近代的市民社会や権利意識では理解しきれない紛争解決の在り方について、洋の東西を問わず比較検討がなされている。執筆者はこの中で、「司法利用」概念の提唱者M. ディンゲスによる、近世ヨーロッパにおける司法利用と医療利用の類似性・差異性を論じる講演を翻訳している。『憲法訴訟の実務と学説』[執筆等教員] 松本 奈津希(法学部) 本書は、憲法・行政法研究者と実務家が協働し、これからの憲法訴訟のあり方を追究するものである。 執筆者が担当した箇所(「生存権訴訟の類型化と審査のあり方─自由権的側面を起点として」)では、近年の裁判例を含めた生存権訴訟について、生存権の自由権的側面という新たな切り口からの類型化を試みている。また同時に、生存権領域において従来認められてきた、広範な立法・行政裁量の統制可能性についても、検討を加えている。『韓国文化の昔と今 「何となく知りたい」から「もっと知りたい」へ!』[執筆等教員] 宮内 彩希(法学部) 本書は、韓国文化に関心を持ち「何となく知りたい」と思い始めた読者のために書かれた入門書である。 文化は絶え間なく変化するものであるので、韓国文化の「今」だけではなくその由来や歴史的変遷に重点を置いているのが特徴である。雑学知識のある読者、あるいは韓国語学習者が、学術的に韓国文化を学ぶための前段階として読めるよう工夫した。構成は、歴史・地理概観、日常・非日常の文化、大学・エンタメ文化からなっている。『健康・スポーツの栄養学―大学教養講義』[執筆等教員]山内 有信(健康科学部) 運動・スポーツの実施のためはもちろんのこと、身体をつくるには、栄養素の働きを理解し、正しく摂取する必要がある。 本書は、大学教養科目での利用を想定しているが、正しい食事摂取を考えるには栄養代謝の理解が必要である。そのため、やや踏み込んだ専門的内容になっている。しかし、少しでも理解して、これからの健康づくりのための運動や、大学における競技スポーツセンスとして活用してもらえればと思う。『NPMの導入と変容―地方自治体の20年』[執筆等教員] 山中 雄次(国際コミュニティ学部) 2000年初頭、わが国の地方自治体の間で、民間に業務を委ね、また民間の経営手法を取り入れる概念や手法である「NPM(New Public Management:新公共経営)」が大流行した。それから約20年経過したが、実際にNPMがどのように取り入れられ、変容を遂げ、そして今も息づくのか、明らかにされてこなかった。本書は、地方自治体の現場の視点から、その解明に取り組んだ成果である。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る