新スタジアムがもたらす広島県への経済効効果果果経済 新スタジアムは、広島県の企業・住民の所得をどれだけ増やすでしょうか?飲食需要を切り口に、私が研究するサプライチェーン*の観点で考えてみましょう。 新スタジアムでの試合後に飲食店に立ち寄る県内外の観客が増えるでしょう。飲食店は食材を仕入れたり、設備を借りるので、他の産業の生産も増えます。これで発生する県内の企業・住民の年間所得を下表の通り試算できます。 県内客の飲食が所得増へ貢献する4.5億円は見せかけかもしれません。県内客は 私の専門分野はマーケティングです。ビジネスの世界では「売れる仕組み(仕掛け)」としてのマーケティングが必要だと言われます。なぜか。製品やサービスを売るという行為自体が不確実性にまみれ、売れる保証がないからです。そこでターゲットの居場所や行動を分析し、彼らに合った仕掛けを用意するなど、販売確率を高める努力が必要になります。 エディオンピースウイング広島は顧客目線で整備されており、マーケティング的な発想が詰まったスタジアムだと言えます。従来利用していたスタジアムには「交通アクセスが良くない」「スタンドからピッ*製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連のプロセス※小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳と合計が不一致観戦後の飲食でお金を使う分、他の県内イベントでお金を使わなくなる可能性があるからです。 しかし、この県内客貢献分4.5億円増にも重要な意味があります。これらの多くは広島市の繫華街で発生し、中心市街地のにぎわいの創出に貢献します。広島県がより多くの若者に選ばれ、転出超過解消にもつながるようになるうえで重要なことです。 上記の経済効果を通して、広島県がより活気のある地域になることを期待しています。チまでの距離が長く、臨場感がない」「スタンドを覆う屋根がなく、観戦が天候に左右されやすい」といった集客上の課題がありました。顧客の不満は要望の裏返し。新スタジアムがこれらの要望に応えようとするものであることは明白でしょう。さらにスタジアム内を回遊できるループ状コンコースの採用やバラエティーに富む客席を用意するなど、サポーターや観戦者の目線で設計されています。公設スタジアムであるにもかかわらず顧客志向が徹底されているところが興味深く、スポーツの盛んな広島だからこそ可能なのかもしれません。0.7億円1.4億円0.8億円商学部経済科学部07しんたくこうじ新宅公志准教授まつおようじ松尾洋治教授特集広島にいきる修大 進化する広島を探究する県外客の所得への貢献旧スタジアム新スタジアム所得の増加分2.0億円6.4億円4.5億円県内客の所得への貢献2.6億円7.9億円5.2億円合計ことによる広島の変化について、4名の教員がさまざまな学術的視点で解説します。顧客志向が徹底された公設スタジアムググ考える、広島の変化とは?
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