広報誌「TRUTH」2024年度春夏号
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橘 大谷さんは、現在ゼミでどんなことを研究していますか?大谷 過疎地に住む高齢者がどのような移動手段を利用しているかについて研究しています。橘 過疎地での主な公共交通機関はバスですよね。大谷 はい。そのため、公共交通機関のなかでもバスに特化して研究しています。バスの交通課題として、JRなどの公共交通機関に比べて、バスの時刻表や路線図がわかりづらいことが挙げられます。地元が県外にある私も、広島に来てから不安に感じることがありました。橘 見ず知らずの街を訪れる人にとって、公共交通機関の中でも特にバスを利用するハードルはとても高いですよね。例えば、MOBIRY*のようなデジタルチケットが普及することで利用するハードルが下がると思うのですが。大谷 支払いの不安がなくなるのはストレス 日英対照言語学という言語学の学問を学んでおり、授業で学んだことを地元である廿日市市の活性化のために生かしたいと思いプロジェクトに参加しました。活動拠点として、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている宮島の中江町を選びました。古風な街並みが魅力的な地域ですが、宮島のシンボルである赤い大鳥居や海に浮かぶ嚴島神社ほど知名度地域つながるプロジェクト活動期間: 2022年度・2023年度軽減になると思います。また、時刻表・乗り場がスマホを見て一括でわかるサービスや、往復チケットとセットになった観光プランのパッケージがあると、お出かけしようという気持ちになります。橘 公共交通機関のハード面を整えるとなると、インフラ整備に時間もお金もかかりますが、デジタルチケットの普及やスマホアプリなどのソフト面を整えることで、観光のポテンシャルも上がりますね。大谷 現在、広島の「陸の玄関口」である広島駅の再開発も進んでいると思います。駅ビル2階に路面電車が高架で乗り入れるようになりますが、その影響についてどう思われますか?橘 駅前は空間が狭いです。バスと路面電車の乗り場が同じ空間に存在することで、バス停があちこちに分散されているのが課題ですが、路面電車が2階に上がることで、バス停が一カ所に集約できます。利便性が高まることで、新たな観光資源へのアクセスも広島の主要な観光地を訪問し、英語でどのように説明するかをプロの通訳ガイドから学ぶ「Hiroshima Tour Guide Program」に参加した学生と、学生が主体的に地域課題の解決に取り組む「地域つながるプロジェクト2023」で廿日市市宮島の課題解決に取り組む学生に、活動について語っていただきました。が高くないことを課題としています。そこで、中江町を宮島の第3の観光地として活性化させることを目標とした活動に取り組みました。 2022年度に行ったアンケート調査で、宮島に来る9割の外国人観光客が「日本語で観光をしたい」と感じている結果を受け、言語学の側面から、外国人観光客の満足度向上をめざしました。具体的には、「英語圏以外の外国人観光客にいかにして宮島の情報を伝えるか」に着目し、「やさしい日本語」を用いたフリーペーパーを作成し配布しました。さらに、中江町で開催される各種イベントの企画・運営にも携わり、観光と言語の両面から中江町の活性化をめざす活動ができたと思います。*MOBIRY…インターネットでチケットが購入でき、スマートフォンを乗務員に見せるだけで、乗り降りできるデジタルチケット期待できますね。大谷 行きたいと思う場所があっても、目的地までの公共交通機関のルートなど調べることが多いと、面倒に感じてしまい目的地を変えてしまうこともあります。広島駅の再開発で、路面電車やバスに乗りやすくなることで、観光地・街なかのスポット・お店などへ行きたいという意欲が高まると思います。橘 今はお店も観光要素になる時代です。なかにはお店が住宅地にあるケースも増えています。そのような場合、二次交通(空港やターミナル駅から観光目的地まで行くための交通手段)がいつも課題になります。広島の観光のポテンシャルをあげるために、さまざまな場所へのアクセスを広げ、観光客にもやさしい街へと変化させる必要がありますね。広島駅の再開発をはじめとした、公共交通機関の利便性の向上に期待しています。作成したフリーペーパーの一部 ▲09ごとうなおし人文学部英語英文学科4年詳しくはこちら特集広島にいきる修大 進化する広島を探究する後藤 直志 さん観光客にやさしいまちづくりと交通について宮島観光活性化プロジェクト〜観光と言語がつなぐ地域の輪〜学生たち

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