広報誌「TRUTH」2024年度冬号
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1001000.90.80.70.60.50.40.30.20.110203040506070809011詳しくはこちら図1:横軸=人数/縦軸=多数決の正解確率状況での意思決定問題です。チームの回答を決める方法の一つとして、各メンバーはそれぞれ自分の知識や情報からAとBのどちらが正解の可能性が高いかを判断して、どちらにするかを他のメンバーに伝えて多数決で最終決定するという方法があります。他の方法として、黙ってメンバーのうちの1人にリーダーとして最終的な決断を委ねるという方法も考えられます。正解の選択肢を選ぶという目的を考えたとき、多数決による決定と1人による決定のどちらの方法がうまく決定することができるでしょうか? この問いでは、多数決は各メンバーの情報や判断を集計してうまく決定できるかどうかを、正解確率の観点から尋ねています。18世紀にさまざまな分野で活躍した学者であるコンドルセの古典的な議論の一つに、ある条件のもとで多数決は高い正解確率で決定できることを説明する陪審定理と呼ばれる議論があります。そのような数値例として、各メンバーが正解に投票する個人正解確率がそれぞれ等しく0.6である場合を考えてみます。このとき、3人中2人以上が正解の選択肢に投票することが起きる確率、つまり多数決の正解確率を計算すると0.648になり、個人正解確率0.6を上回っています。 陪審定理によると、個人正解確率が0.5を上回るとき、1人から3人、5人…と人数が増えると多数決の正解確率が上昇していき、人数が十分に大きくなると正解確率は1に近づいていくことが知られています(図1)。 ゲーム理論は、複数の意思決定者がそれぞれ行動するとき、互いの行動が互いの利得に影響を与えるような相互依存関係がある状況に注目して、その状況を数理モデルの形で定式化してどのような意思決定が行われるかを研究します。情報の経済学は、意思決定者が情報を得たときにそれが意思決定にどのような影響を与えるか、意思決定者たちの持つ情報によってどのような現象が発生するのかなどを研究します。 先述の陪審定理の説明では、各メンバーの投票行動は個人正解確率によって単純化されて表されていました。ゲーム理論と情報の経済学では、人々の間で情報や利害が複雑に絡み合っている中で、それらを巡ってどのような駆け引きや決定が行われるかを分析しますので、集団的意思決定の過程におけるメンバーの行動も分析の対象とすることができ、研究を発展させることができます。 このような背景のもとで、これまでに行ってきた研究として、メンバーの情報精度に多様性がある場合にどのような投票行動が取られるか、投票による多数決ではうまく決定できるのかを研究してきました。そして、情報精度が低い場合でもその情報に従って投票したときの正解確率が0.5は下回らないという形で陪審定理の想定が満たされていたとしても、陪審定理とは逆に多数決よりも1人による決定がうまく決められる状況があることを示しました。ゲーム理論と情報の経済学による陪審定理研究コンドルセの陪審定理

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